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仮面ライダーリリカル電王sts外伝第五話 「ある日のシャーリー」 「う、う~ん!終わったぁ」 一人の女性、シャリオ・フィニーノは書類を完成させ、くつろいでいた。 彼女は自分が作り上げたシステムの書類を作っていたのだ。 「終わったのか…。コーヒーだ飲むといい」 「あ、ありがとうございます、アインさん」 銀髪に黒い帽子を深くかぶった女性、アインからコーヒーを受け取りシャーリーは再び書類に目を向けた。 「それにしてもすごい。画期的なシステムです。これならイマジンも…」 「ああ…。元よりその為のシステムだからな」 「そう言えば、アインさん」 「なんだ?」 「アインさんは起動後の姿は知らないんですよね?」 「そうだな…。実際に見たことはないからな」 「じゃあ、見ます?」 「良いのか?なら、見せてくれ」 「御安いごようです!」 そう言うとシャーリーはキーボードを操作し複数のモニターを出した。 「まずはスバルから。スバルのはややスピード特化してます」 「どんなアーマーなんだ?」 「スバルのは胸部、脚部、肩部に赤色のアーマーが装着されて鉢巻きも赤くなります。 後、これは全てに共通するんですけど顔に仮面はつけてないんです」 「何故なんだ?」 「だって仮面つけたら可愛くないじゃないですか」 「それだけの理由か…」 「後、泳げません♪」 「良いのかそれ…」 「次はエリオ」 (流したな…、確実に) 「エリオのは青色の亀の甲羅の様なアーマーが装着されて、顔の横にアンテナがセットされるんです」 「なんだそのアンテナは?」 「デンソナーと言って言わばソナーシステムですよ」 「小型のレーダーと言う訳か」 「後、このアーマーだけ背部にデンスクリューと言う物があって泳げるんです。ただ…」 「ただ?」 「キック力と防御力以外スペックは、最弱なんです」 「おい、良いのか?」 「いいんですよ。ほら、可愛い男の子がボロボロになるのが良いんですよ♪」 (段々、危なくなってるのは気のせいだ、気のせい。) 「次はキャロ。キャロの場合は金のアーマーが装着されて、帽子が黄色になるんです。 この帽子は自動で飛んだりするんですよ。後…」 「後?何があるんだ?」 「帽子にはリイン曹長が乗り込んでて空を飛んだり盾になったりするんです♪」 「どこのスーパーロボットだ!どこの!」 「て、言うのは嘘で本当は防御力とパワーが高いんです」 (まともなのがないのか) 「で、ラストがティアナ。これは紫色のアーマーでキック力と起動力が最も高いんですよ」 「最後が一番まともだな…」 「あと、ターゲットスコープも搭載してるんですよ。後はキャストオフをつければ…」 「待て、それ以上は色んな意味で待て!」 「性能が…」 「少し、静かにしろ。いいな!!」 「は、ハイッ!!」 有無を言わさぬ口調でシャーリーを黙らせるアイン。 そこへ、ドアをノックする音と共に声が響いた。 「シャーリー、差し入れ」 「入っていいよ!」 シャーリーが返事をすると一人の人、いやイマジンが入って来た。 黒いローブを身に纏い黄金のカラスの様な顔立ちのイマジンであった。 「はい、どうぞ。差し入れのおにぎり。さあ、召し上がれ」 「いつもありがとう、デネブ!アムッ、美味しい~っ!!」 「ささ、アインもどうぞ」 「いただこう」 そう言って一口おにぎりを食べ、アインはこう洩らした。 「美味しいな…」 彼女は感慨にふけっていた。昔を、思い出し…。 (思えば、十年前まではこうやって食べることもなかったな…) 「あれからもう十年、か…」 「どうしたんですか?気分でも…」 「大丈夫、少し考えこんでいただけだ」 「なら、いいんですけど…」 感慨にふけっていたアインにシャーリーは心配し声をかけてきた。 アインが答えると少し安心したようにそれ以上は聞いてこなかった。 ちなみに余談だがアーマーのデザインはシャマルとシャーリーがノリノリでデザインしたらしい。 目次へ
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リリカル遊戯王GX 第六話 最高の最悪 エリオVSスバル! 「おかしい、何故見張りがいない?」 「中で何かあったって考えるのが自然だね」 十代達はアカデミアまで戻ってきていたが、人っ子一人いないその状態に首を捻る。 荒れている様子はないため、モンスターが襲ってきて全滅……なんてことはないだろうが、 見張りを全員撤収させるほどの事態とは何なのだろうか? 言葉にできぬ不安を感じて内部に入り――動きを止める。 「な、何だ……?」 「この人達、普通じゃない……!」 「まるでゾンビだぜ!」 十代達を取り囲むように現れたゾンビ生徒たちに警戒を強める。 ゾンビ達は何も言わずにデュエルディスクを展開し歩み寄ってくる。 「何だ? デュエルしようってのか?」 「十代、あまり無用な戦いは……」 「だが、デュエルしないと通してくれそうにないな」 不気味な動きで、それでも十代達の進路を塞ぐゾンビ達に、やむ負えずデュエルディスクを展開してデュエルを始めようとし―― 突然目の前に落下してきた女性と少年に目を奪われる。 「フェイトちゃん!?」 「エリオ!?」 なのは達は思わず叫ぶ。 だが、その思考は完全に停止していた。 何故この二人が戦っているのか、何故エリオの体が血まみれなのか、 何故――ストラーダがフェイトの体を貫いているのか。 「っ……な、のは……にげ、っ……」 「――っ! レイジングハート!」 「なのはさん!?」 『Divine Buster』 フェイトの姿を見て、何かが切れたなのはがエリオとその周囲にいたゾンビ生徒を吹き飛ばす。 倒れたままのフェイトを抱き起こし、治癒魔法をかけようとして―― 「……怪我が、ない?」 「なのは、大丈夫……エリオと戦って、て……わかったことが、ある……」 「フェイトちゃん、喋ったらダメだよ!」 心配するなのはに首を振って応え、フェイトは時折苦しそうにしながら言葉を続ける。 「私たち、の存在は……この世界じゃ、カードの精霊と似てるんだ……」 「カードの精霊……」 「だから、戦いが終われば怪我はなくなる……ダメージは、残るみたいだけど」 「そ、それじゃあ、この世界では私たちは死なない……?」 タイタンから受けた傷が治っていたスバルを思い出しながら尋ねる、 この考え通りだとしたらなのはの心配も杞憂に終わる、 わずかに期待を込めて問いかけるが、フェイトはその問いにも首を横に振った。 「さっき偵察に出た時、モンスターの死体を見た……たぶん、デュエルじゃない……精霊同士での戦いでやられたら、死ぬんだと思う」 「じゃ、じゃあエリオにやられたフェイトちゃんは……」 「……違う、今のアカデミアに、死の概念はない」 「え……?」 言っている意味がわからなかった……いや、わかっていても、予想していても否定したかったのだろう。 「今のアカデミアで精霊……私たちが死ぬほどのダメージを受けたり、デュエルで負けたりしたら――」 「こうなるんですよ」 「危ない!」 「っ!?」 スバルに引っ張られ、なのはの目の前をストラーダが通り抜ける。 少しでも遅れていたら間違いなくやられていただろう、スバルに感謝すると同時に本当にエリオがやったのか信じられなくなってしまう。 だが、エリオはとても楽しそうな表情でなのは達にストラーダを構えていた。 「なのはさん達も一緒に戦いましょう……凄いんですよ、こんなに戦いが楽しく感じるのは初めてです……」 「エリオ……本当に……」 以前の彼からは想像できない姿にショックを受けるなのは達の横で、 十代達はゾンビ生徒達に追い詰められていた。 「みんな、目を覚ましてくれよ!」 「デュエル……デュエルしよう……」 「ダメだ、こうなったらやむ負えない……!」 「ようは勝てばいいんだろ! やってやる!」 ディスクを展開してデュエルをしようとした瞬間、聞きなれた声が十代達を押しとどめる。 「ダメよ十代! デュエルしちゃダメ!」 「明日香、剣山!?」 「うぉぉぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁ!!」 剣山が台車に木材などを取り付けた改造車でゾンビ生徒たちを威嚇していき、 それによってできた逃げ道へ明日香がみんなを誘導していく。 エリオがそれを防ごうとするが―― 「アルケミックチェーン!」 「キャロ!」 「皆さん、急いでください!」 キャロの鎖がエリオを封じ、その間に十代達は逃げ出していく。 「なのはさん、早く!」 「フェイトちゃん……っ!」 ティアナは逃げ出す直前、後ろを振り返った。 執務官に必要なものを色々と教えてもらった、恩師のような存在であるフェイトを、最後に見ておきたかったのだ。 そしてそんなティアナの視界に入ったのは―― 「クロスミラージュ!」 『Phantom Blazer』 ティアナが咄嗟に放った砲撃魔法が相殺される。 なのはたちが驚いて振り返るが、ティアナは一気に走るスピードを上げて叫び返した。 「みんな、急いで! フェイトさんが……フェイトさんもエリオみたいに……!」 「あはは、さすがティアナだね……あれを防ぐだなんて」 「ダメですよフェイトさん……一撃で終わらせたらつまらないです」 「そうだね……ゆっくりと戦いの面白さを教えながら、なのはやキャロ達も仲間に入れよう?」 「はい……十代さんたちは、お任せしますね」 エリオは振り返り、新たなに現れた男へ語りかける。 「ああ、任せておけ……この俺、万丈目サンダーにな」 十代達は明日香を先頭にある部屋まで逃げてきていた。 「ここなら、大丈夫そうね」 「……なのはさん、大丈夫ですか?」 「うん……ごめんね、私がしっかりしないといけなかったのに」 「フェイトさん、エリオ……」 暗く俯くなのは達の横で、十代達もショックを隠せないでいた。 アカデミアの仲間達の変貌、そして、テレビでしか見たことのなかった「殺される」という瞬間…… 「明日香、いったいどうなっちまってるんだよ!?」 「私達にもわからないの、フェイトさんとエリオ君が見回りに出て、しばらくしたら突然あんな風になった生徒が……」 「初めは何人かデュエルを受けて、勝った人もいたザウルス。だけど倒しても倒しても、すぐに起き上がってきていずれはデスベルトのせいで……」 「三沢君や無事な人達は体育館の方でバリケードを作ってるわ、私達は皆が帰って来たときのために見回ってたの」 「そうか……翔もそこにいるのか?」 十代の質問に明日香が少し俯いた表情で応えようとするが、背後から聞こえてきた泣き声に中断される。 そちらを向くと「兄貴……兄貴……」と蹲っている翔の姿があった。 「翔、無事だったか!」 「丸藤先輩! こんなとこにいたドン!? 見つからなくって心配してたザウルス!」 「兄貴……剣山君……」 喜びながら二人は近寄るが、翔は蹲ったまま顔を上げようとしない。 十代は自然に手を差し出して―― 「よせ、十代!」 「へ?」 ヨハンが叫ぶが、その前に翔が十代の腕を掴み勢い良く立ち上がる。 その顔は―― 「デュエルしようよぉ!」 「しょ、翔!?」 「そんな、丸藤先輩まで!」 普段の翔からは考えられない力で腕を掴み、強制的にデュエルをしようとするが、 横手から伸びてきた魔力の道が翔の体を吹き飛ばす。 「ごめん、翔君……!」 「スバル……くそっ、翔まで……!」 「いいじゃないか十代、お前も仲間に入ればいいだけさ」 入り口から聞こえてきた声に十代たちは慌てて振り向く、 何人ものゾンビ生徒の先頭に立った万丈目が、デュエルディスクを展開しながら近づいてくる。 「万丈目……お前まで……」 「天上院君、十代、お前たちも一緒にデュエルを楽しもう。俺はこんなにデュエルに快感を覚えたのは初めてだ」 エリオと同じ事を言う万丈目に、十代達は愕然としてしまう。 背後には翔、前には万丈目と大量のゾンビ生徒が十代達を追い詰める。 「どうする!? このままじゃ……!」 「やるしか、ないの……!?」 「まだだ! 道がないなら作ればいい!」 十代の言葉になのはははっとして顔を上げる。 二人で向き合い、頷きあってそれぞれ別の方向へと向き直った、 なのはは横の壁へ、十代は天井へディスクを展開する。 「何をする気だ!?」 「みんな、なのはさんの側へ! いくぜ、フェザーマンとバーストレディを手札融合、フレイムウィングマン!」 「いくよ、本日二回目! ディバインバスター、フルパワー!」 なのはの砲撃が壁を吹き飛ばして道を作り、十代の呼び出したモンスターが天井を崩して万丈目達の追撃を阻止する。 天井の崩壊を逃れた翔が追ってくるが、キャロが再び鎖を召喚し縛り上げる。 そのまま通路を駆け抜け――二つの閃光がその進路を塞ぐ。 「フェイトちゃん……!」 「逃げるなんて酷いよ、なのは……私達と、戦おう?」 「エリオ君、目を覚まして!」 「キャロも仲間になろうよ、ライトニング隊みんなでさ……」 デバイスを構えて歩み寄ってくる二人になのはたちは思わず後ずさり――スバルとティアナが前に出る。 「スバル、ティアナ!?」 「ここは私達が抑えます、なのはさん達は早く先に!」 「保健室に行かないとレイちゃんが危険です、そちらをお願いします」 二人の目に迷いはなかった、スバルはエリオと、ティアナはフェイトとそれぞれ向き合う。 今のなのはにこの二人と戦うのはまず無理だ、彼女は決して心が強いわけではない。 確かになのはの意思は固い、最後の最後まで相手を救おうと動き、決して諦めようとしない、 だが……硬いからこそ壊れやすい、幼い頃からの親友、比べられるものではないが、ヴィヴィオよりもなのはの心に深く寄り添っていたものが崩れてしまったのだ、 まともな精神状態を保つのがやっとであろう、ならば二人を止められるのは、自分達しかいない。 「スバルさん、嬉しいなぁ、僕と戦ってくれるんですね」 「違うよ、戦うんじゃない……目を覚まさせてあげる……!」 「ティアナ、さっきの判断はよかったよ……もっと、もっと楽しもう!」 「フェイトさん……私に教えてくれた執務官としての心得、今度は私が教えます!」 他の面々が止める前に二人はフェイトとエリオへ駆け出していく、 なのははその光景に呆然とするが、ヨハンに手を引かれ慌てて走り出す。 「急ぐぞ! 俺に言ったこと、もう忘れたのか!?」 「え――」 「仲間を信じるんだろ? なら信じろ! あんたの部下と、親友を!」 「っ……うん! ありがとう、ヨハン君!」 ――みんな、お願い……! エリオはウイングロードで滑走するスバルへと狙いをつけ、一気に突撃する。 近接戦闘を得意とする二人だが、力や防御力ではスバルが勝るが速さでは圧倒的にエリオに軍配があがる、 その突撃を回避することは不可能と判断し、障壁で受け止め反撃しようとするが、直後のエリオの行動に目を見開く、 魔力をブーストとして爆発させた直後にスバルの強固な障壁との拮抗、かなり負荷がかかっているはずのストラーダで、更にカートリッジをロードして二回目のブーストを発動させる。 強力な負荷でストラーダはフレームが軋み、障壁は砕け散って慌てて身を捻ったスバルの左腕を浅く切り裂いた。 「エリオ……!」 「どうしたんですかスバルさん、そんなスピードじゃ僕にはついてこれませんよ」 「そんな戦い方をしたらストラーダが持たないよ! わからないの!?」 「ああ、心配いらないですよ。この世界では戦いが終われば元通り、ストラーダだって壊れても元に戻ります」 スバルは怒りを抑えるように拳を強く握る、だが、次のエリオの言葉に――キレた。 「スバルさんもどんどんマッハキャリバーを使うといいですよ、強化されてるんだし、ちょっとやそっとじゃ壊れないんでしょう?」 「エリオォォォォォォォォ!!」 ウイングロードの形成とほとんど同速度で突っ込み右腕を振るうが、その拳は壁の一部を砕くだけだった、 高く跳んで拳をかわしたエリオは、自分の右腕に雷撃を纏わせ、怒り任せの攻撃によって隙だらけになったスバルの背中を狙う。 「紫電、一閃!!」 「うわぁぁぁぁ!」 数年前の時にはまだ制御がしきれず、自身のバリアジャケットをも粉砕してしまった未完成の技だったが、 今はもうあの時とは違う、威力もあがり制御も完璧だ、 その一撃を受けてさすがにスバルも――そのままエリオの腕を掴み取る。 「なっ!?」 「この、ぐらい……!」 ――ギン姐の方が……強かった! そのまま腕を引き寄せ――投げ飛ばす! 「効くもんかぁ!!」 「――!」 背中から床に叩き付けられ、エリオの息が一瞬止まる。 急いで体勢を立て直そうと起き上がるが、目の前に突き出されていたスバルの拳と魔力に、動きを止めてしまう。 「一撃、必倒!」 「しまっ――」 「ディバイーン……バスター!!」 スバルの0距離からの魔力砲撃を受け、エリオは壁に叩きつけられて気を失う。 一息つこうとした直後、何かがぶつかりその場に倒れこんでしまう。 「いっつぅ……っ!? ティア!」 「くっ……やっぱり厳しいわね……」 「エリオ、やられちゃったんだ……さすがだね、スバル」 「フェイトさん……!」 なんとか立ち上がるも、状況はかなり厳しかった。 ティアナはすでにふらふらなのにも関わらず、フェイトはほとんど疲労しているように見えない、 防御の硬いスバルが前に出ようとするが、足から力が抜けてその場に膝をついてしまう。 「スバル!?」 「っ……思った以上に、ダメージが……!」 「そんな状態じゃ面白い戦いができないね……困ったな」 完全に舐められている、そう思いながらもティアはしかけることができなかった、 無防備に考え込んでいるだけのように見えるが、あの状態からでも一瞬の間に自分の背後を取れるだろう。 フェイトの戦いはよく見ていた、だが、今のフェイトはその時よりも強い。 ――人を傷つけるのに、躊躇いがない…… それはフェイトを知る人間には信じられないことであった。 例え犯罪者相手でも、フェイトはどこで自分をセーブしていたのだ、 その躊躇いがなくなった彼女は、もしかしたらなのはを超えてしまうかもしれない。 「……そうだ」 簡単なことじゃないか、といった風に微笑みながら二人へ向き直る。 「仲間になればいいんだ、ずっと一緒に戦えるよ……」 「……スバル、頑張りどころよ」 「だね……頑張ろう、マッハキャリバー!」 『All right』 スバルは懐に忍ばしてある一枚のカードにこっそりと手を添える、 別れる直前十代から受け取ったこのカードに、この場を乗り切る可能性を賭けて。 十代達は誰もいないことを確認し、部屋に入って扉を閉める。 「ガンナーガール、無事だといいが」 「万丈目、翔……ちくしょう!」 全員の気持ちは完全に沈みこんでいた、 それも無理はない、アカデミアに帰ってから息をつく間もなく、次々と変わり果てていった仲間の姿を見せられてしまっているのだから。 「今は、落ち込んでいる場合じゃない」 「ヨハン!?」 「早くこの薬を保健室まで届けなければ、鮎川先生とレイが危険だ」 「そ、そうだ……レイが待ってるんだ……!」 そう言うが早いか、薬を持って十代は駆け出そうとする。 「待て! どうする気だ!」 「どうって、だから薬を届けるんだよ!」 「落ち着いて十代、保健室の方にもあのゾンビ生徒が大勢いるのよ!」 「だったら! 尚更急がないと!」 「落ち着いて――って私が言えた立場じゃないけど、とにかく冷静になって、十代君」 なのはの言葉に十代は一旦動きを止める。 先ほどのなのはの表情を十代は見ていたのだ、絶望に染まったその顔を。 「保健室の周りがあのゾンビたちでいっぱいなら、私達が真正面から乗り込んだら返ってレイちゃんたちは危険になっちゃう」 「じゃあ、どうしろっていうんだよ!」 「そうだね……正面からじゃなければいいんだよ」 なのはの言葉が十代はさっぱりわからないと首を捻るが、オブライエンが意図に気づいて言葉を引き継ぐ。 「通気口からなら見つかる可能性はかなり低い、ミッションを達成するならそちらから向かうべき、ということか」 「うん、私はここの構造に詳しくないけど……みんななら、通気口からでもどっちの方向が保健室かわからないかな?」 「問題ない、内部構造なら把握している」 「よ、よし、それなら急ごうぜ!」 「wait、トゥモローガール達は体育館の方へ行って守りを固めた方がいい」 ジムの提案に明日香達は頷き、キャロとフリードを護衛に体育館へと向かう。 十代達も保健室へ向かおうとしたとき、生徒手帳が保健室からの通信を拾った。 『……か、誰か、応答して!』 「鮎川先生!? 無事なのか! レイは!?」 『十代君!? お願い、早く来て、もうもたn……』 「先生!? 返事をしてくれ、先生ー!!」 続く 十代「くそっ、どいてくれ! レイのところへ急がないといけないんだ!」 なのは「信じてるよ、スバル、ティアナ……私は、私が今できることをやるんだ!」 次回 リリカル遊戯王GX 第七話 レイ救出作戦! 恋する相手はなのはさん!? なのは「さ、さすがにモンスターとお付き合いする気はないんだけど!?」 十代「相変わらずだな……あのカード」 なのは「今回の最強カードはこれ!」 ―スターズ3 スバル=ナカジマ― 効果モンスター 攻撃力1850 防御力1600 自分の場に「ティアナ」「なのは」「ギンガ」と名のつくカードがある場合、 その枚数×200ポイントこのカードの攻撃力はアップする。 この効果はいつでも扱うことができる、 このカードを生贄にすることで、このカードを素材とする融合モンスターを特殊召喚できる。 デッキから魔法カードを二枚除外しこのカードを生贄にすることで「スバル=ナカジマ(戦闘機人)」を特殊召喚できる。 十代「無事でいろよ、スバル……!」 なのは「次回もよろしくね♪」 前へ 目次へ 次へ
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魔法少女リリカルBASARAStS ~その地に降り立つは戦国の鉄の城~ 第一話「忠勝、ミットチルダにて起動」 「・・・・・!!」 忠勝は目を覚ました。あたりを見回すと今までの騒がしさはなく、静かな場所で。 しかしその風景は違和感がありすぎた。数多の鉄の城が建ち並び、灰色の川が流れている。 そしてその灰色の川の上を異形の船が高速で通り過ぎる。戦国の世を生きてきた忠勝にとっては見るものすべてが異形のもの。頭を抱え、地に膝を付く。自分の武器はちゃんと自分の手に握られている。 「・・・・・」 彼は必死に考えている。この世界からどうやって戦国の世に戻るのか。その前に、戻れるのか。ここの者達はどんな容姿なのだろうか? 少なくとも頭のてっぺんの毛だけを綺麗に剃った愛を与えると見せかけて殺戮行為を仕掛ける南蛮人ではないことを願う。 ゆっくりと立ち上がり、自分にどこか異常がないか立ちながらの瞑想で確かめる。 (ない。) そう確認したかの如く、忠勝の眼が赤く光り、関節から熱を排気。煙が吹き上がる。 __________戦国最強「本多忠勝」、始動。 巨大槍を数回、回転させると背中の紋章から筒が二本飛び出す。俗に言う「ロケットブースター」というものだ。 筒から蒼白い炎が出る。低く構えて数秒、再び眼が赤く光り、空へと飛び立った。 しばらく飛行していると一つの奇妙なものを見た。空を飛ぶ奇妙な船だ。 上には何かが回転している。あれで空を飛んでいるのだろうか?どちらにしろ忠勝にはその原理はわからない。 そして地上では何か騒がしい。 何が起こっているのかは理解するつもりはなかった。だが、遠方から見えた光で忠勝は大体のことを理解した。 しかし、自分の体は勝手にあの船を「守ろうと」飛び出していた。 なんでそういう行動に出たのかは自分でもよくわからない。そして今まで戦国の世に身を流していたときの記憶を思い出した。戦の跡、そこには自分の手で命を絶ってしまった兵。 死体から鎧などをひっぺはがす農民達の姿、一人の兵にすがりつくように泣いている子供、そして女。こちらが近づくと石を投げてきた。 「しんじゃえ人殺し!!」 その時は自分は何も思わなかった。しかし主である徳川家康は悲しそうな顔をして、自分に問うた。 「忠勝・・・ワシは・・・間違っていたのか・・・?」 「・・・・」 その問いに答えることはできなかった。 しかしこれだけはわかった。戦で死んだ敵兵のことを想い、主は泣いているのだと。その日から、兵の命を自分の手で絶つたびに、苦しくなった。 もしかしたら自分は「必要以上に人が死ぬのを見たくない。」と感じるようになっていたのかもしれない。 「・・・・・・!!!」 意識を現実に戻す。そう、自分が今やるべきことはすでに決まっていたのだ。 紋章が開き、二枚の巨大な盾を腕に装着。箱と光の間に立ち、両手を交差させて光を真っ向から受けた。 _____忠勝、防御形態 間接が軋むほどの衝撃が走る。しかしこのまま引き下がるほど自分は落ちぶれちゃいない。何しろ戦国最強なのだから。 腕を上へと思い切り振り上げた。光は上空へと飛び、爆発した。 自分は守ろうと思った命を守った。命を絶つことしかできなかった自分のこの手で。 「・・・・え・・?」 私、高町なのはは唖然としていた。シャマルさん達が乗っていたヘリを守ろうとしてヘリの前の立とうとした時、全身を黒い鎧で身を包んだ人(?)が盾で砲撃を防いでいた。 ここには民間人はいないはず。だとしたら、こんなバリアジャケットを持つ管理局員がいただろうか? いや、いない。じゃあ・・・誰が? 「あの・・・あなたは・・・?」 その人は何も答えなかった。こちらを見てホッとしたような雰囲気を出すと背中のブースターを噴出して砲撃が発生した地点へと飛び出していた。 (フェイトちゃん・・・はやてちゃん・・・) 不安でたまらなかった私は二人の親友に念話を行っていた。 (うん、こっちでも確認したけど・・・誰だったんだろう?) (しかしどえらいバリアジャケットやったなぁ・・・。あんなバリアジャケットであれほどの速度・・・人間とは思えへんわ。) 親友のフェイトちゃんとはやてちゃんの答えは同じだった。助けてくれたのに不安がぬぐえない。 (と・・・とりあえず私あの人追ってみるね!) (あ、わ、私もいく!) 無意識のうちに私はあの人を追っていた。 正体が何なのか知りたかったのが半分、お礼が言いたいのが半分。 私はひたすらあの人の後を追う。姿は見えなかったけど、必死で追いかける。途中でフェイトちゃんと合流した。 急がなきゃという思いが、何故か頭の中で駆け巡る。 「・・・・・・」 「い・・いつの間に・・・?」 「あ・・・あらぁ・・・」 一方、三人はお互いに驚いていた。 忠勝のほうはあんな砲撃をしていたのが少女だったということだ。自分の知り合いにも銃を使う女性がいたが、あそこまで大きくはない。 槍を構える動作はしていたものの驚きで攻撃に移るという意思はどこかに吹っ飛んでしまった。 そして忠勝と対峙する二人の少女。一人はディエチ。砲撃を行った張本人だ。そしてその隣に立つはクアットロ。 二人とも砲撃を防がれたと思いきやいきなり目の前に黒い鎧に身を包んだ巨人が降り立ったからだ。 逃げることも忘れ、ただただ唖然として立ち尽くしている。 「・・・・・!!」 いち早く我に帰ったのは忠勝。 巨大な槍を二人の少女めがけ振るう。もちろん先端は回転してないから刺さない限りダメージは打撃だけで済ませられる。 「う・・・わっ!!」 ディエチはなんとか避けるも自らの武器、イノーメスカノンを吹き飛ばされてしまった。 忠勝は次にクアットロへと右斜めの振り下ろし攻撃を行った。クアットロは慌てながらもシルバーカーテンで姿を消す。 そして忠勝が混乱している間にディエチはIS、「ヘヴィバレル」を発動。変換時間は無いに等しいため威力は期待できそうにない。 魔力で生み出された弾丸を盾で防御する。お互いに離れ、また静寂が流れる。また忠勝が槍を振るい始めた時・・・・ 「IS発動!ライドインパルス!!」 突然現れた紫の髪の少女に一撃が防がれた。乱入者の名前はトーレ。ディエチとクアットロの姉のような存在だ。 忠勝の槍とトーレのインパルスブレードがぶつかり合い火花を散らす。しかし力の差は目に見えていた。 (こいつっ・・・できる・・・!!) 次第に押され始めるトーレ。しかしディエチの援護射撃で忠勝は大きく吹き飛ばされた。 「今だっ・・・!!」 インパルスブレードの連続攻撃が忠勝を襲う。 「トライデント・・・・スマッシャァァァァァァァッ!!」 「エクセリオォン・・・・バスタァァァァァァァァッ!!」 「「「!?」」」 トーレの連続攻撃は新たな乱入者により中断された。 一方は亜麻色の髪を両サイドで結び、白いバリアジャケットを纏った女性、高町なのは。 もう一方は長い金髪をなのはと同じように両サイドで結び、黒いバリアジャケットに身を包んだ女性、フェイト・T・ハラオウン。 「・・・チッ、退くぞ!!二人とも!!」 「は・・はい!IS発動!!シルバーカーテン!!」 新たな乱入者の姿を見て不利を悟った少女達は姿を消し、逃げた。 しかし二人の女性は三人を追うことはなかった。 視線はすでに黒き鎧の巨人、本多忠勝へと移されていた。 「あ・・・あの・・大丈夫ですか・・?」 「差し支えなければお名前などを教えてほしいのですが・・・」 「・・・・・」 彼女達の問いに答えることはできなかった。 何しろ彼は「喋れない」のだ。喋れないものに答えろといわれてもいかがなものかなと。 言葉の代わりに機械音が唸る。 忠勝は立ち上がりまた飛行を開始しようとする前に・・・ 「・・・!?」 体が床に沈み、また意識を失っていた。 これはたぶん、エネルギー切れというやつである。 戻る 目次へ 次へ
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【検索用 Destiny 登録タグ 2011年 D VOCALOID ぴの 初音ミク 曲 曲英】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:ぴの 作曲:ぴの 編曲:ぴの 唄:初音ミク 曲紹介 「いつか君がくれたコトバ」 曲名:『Destiny』(でぃすてぃにー) 歌詞 途切れた言葉は孤独に変わり 薄れる視界には届かず 願った世界はカタチを無くし それでもただ僕を見つめる君の視線を 感じてる 小さくても 互い確かめるほどに強く 僕らそうやってさ 生きる事を決めた 離れていても繋がっている いつか君がくれたコトバ この胸の中刻み付けて ココロに感じる翼 羽撃(はばた)かせ 繋いだ時の記憶 忘れかけていたこの唄さえ 響かせて空に舞うよ 届いて 今 Destiny 愛した人さえ守り抜けずに 一人で佇んでいる僕は二人のキスを 数えてる 切ないほど ココロ壊れそうになっていても 僕らそうやってさ 歩む事を決めた 怖がらないで手を伸ばして いつか君が告げたコトバ 思い出すほど苦しくなる 悲しみに染まる君のその顔も 集めた時のカケラ 抱きしめるにはほど遠くて 消えそうな声で呼ぶよ 気づいて この Destiny 描いた未来と置き去りの過去 背中合わせ君と僕に何をくれたの? いつか君と出逢えたコト 「運命だよ」と感じながら 拙い歌を捧ぐよ My Destiny 伝わる時の鼓動 重なり合えば愛しすぎて 二人の時間と空を いつか君がくれたコトバ この胸の中刻み付けて ココロに感じる翼 羽撃(はばた)かせ 繋いだ二人の手を 「離さないよ」と約束して あの頃の空を舞うよ もう一度 今 Destiny コメント 名前 コメント コメントを書き込む際の注意 コメント欄は匿名で使用できる性質上、荒れやすいので、 以下の条件に該当するようなコメントは削除されることがあります。 コメントする際は、絶対に目を通してください。 暴力的、または卑猥な表現・差別用語(Wiki利用者に著しく不快感を与えるような表現) 特定の個人・団体の宣伝または批判 (曲紹介ページにおいて)歌詞の独自解釈を展開するコメント、いわゆる“解釈コメ” 長すぎるコメント 『歌ってみた』系動画や、歌い手に関する話題 「カラオケで歌えた」「学校で流れた」などの曲に直接関係しない、本来日記に書くようなコメント カラオケ化、カラオケ配信等の話題 同一人物によると判断される連続・大量コメント Wikiの保守管理は有志によって行われています。 Wikiを気持ちよく利用するためにも、上記の注意事項は守って頂くようにお願いします。
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魔道戦屍リリカル・グレイヴ Brother Of Numbers 第六話「地上本部襲撃(中篇)」 ここは時空管理局地上本部。そこの一角において今まさに熾烈な戦いを繰り広げる二人の少女の姿があった。 投擲専用のダガーナイフが宙を飛び交い付加された特殊能力の効果により爆裂して炎を上げる。 その爆ぜる刃の雨の照準となっているのは左手に鋼の拳を纏い足にローラーブーツを装着した、青き長髪をなびかせる少女ギンガ・ナカジマ。 そしてダガーナイフと固有技能ランブルデトネイターで以ってギンガと交戦するのは戦闘機人ナンバーズ5番チンクである。 「くっ! このままじゃラチが明かないっ!!」 ギンガは苦味の浮かんだ顔でそう漏らしながらチンクの放つダガーナイフを回避する。 本来は自分の得意な接近戦に持ち込み、即座に倒したいところなのだがそれが相対したチンクはそれを容易にさせてくれる相手ではなかった。 寄らば引き、引かば寄る、絶妙に自身の得意とする間合いを保つその戦手筋は正に歴戦と呼ぶにふさわしいものである。 だからと言って簡単に負けるギンガではない、迫るダガーナイフの投擲を紙一重で回避しながら距離を詰めようとローラーブーツ型デバイス、ブリッツキャリバーを駆ける。 そして熱い勝負を繰り広げるチンクとギンガの下に高出力なAMFの波動と共に予期せぬ乱入者が割って入った。 「くうっ!!」 「きゃああっ!!」 突如としてチンクとギンガに目掛けて無数の金属製スパイクが飛来してき、そのあまりに唐突な不意打ちに回避も防御も間に合わず二人はその柔い身体を貫かれた。 チンクは右肩の関節にスパイクを受けるも着ていた高い防御能力を持ったコートのお陰で関節を完全に潰されるという自体は免れる。 だがギンガはそうはいかなかった、高濃度AMF下の影響と先の戦いの影響で脆弱となった彼女のバリアジャケットは受けたスパイクの攻撃を受けて呆気なく貫通を許していた。 「ぐうっ… げほっ! げほっ!」 左膝関節部と右胸部に1本ずつ、そして腹部に3本のスパイクが貫通してギンガは口から夥しい血を吐き、床を赤く染め上げた。 いくら戦闘機人であるギンガといえど生命維持に致命的なまでの損傷を与える過剰殺傷攻撃である。 そしてその攻撃を与えた主が通路の向こうからゆっくりと近づいてきた。 その男の姿がまず第一に与える印象は奇妙以外の何物でもないだろう。 両肩部分に巨大な半球上の装甲を括りつけ、その表面には無数の金属製スパイクが突き出しておりこれこそが先ほどの攻撃の元凶であると容易に想像させる。 あえて言うならばハリネズミとでも言うべき外観、そして逆立てた髪に顔には口部分を覆うマスクをつけていた。 男はまるで道に落ちているゴミでも見るような目で床を這う血まみれのギンガを見下ろし、マスクで覆われた口から言葉を漏らした。 「これが戦闘機人ねぇ~、こんな雑魚じゃあ楽しむ暇もねえぜ」 「貴様……何物だっ!?」 不意打ちで先手を取られたチンクは心中で狼狽しながらも気丈に吼えた。 そして脳裏に様々な憶測を巡らせる。 非殺傷もクソもない攻撃で不意打ちを仕掛けてきたという事はどう考えても管理局の人間ではない。 この地上本部襲撃で局の人間を攻撃するという事、そして自分達を戦闘機人と呼ぶ事から事件の裏を知る勢力でありスカリエッティとは関係ない第三勢力であると推測される。 そして男は余裕を持った悠然とした口調でチンクの質問に答えた。 「めんど臭えが教えてやるぜ、俺の名はマイン・ザ・E・G・マイン。GUN-HO-GUNS最強の男だ!!」 一方その頃、地上本部上層階の一室。そこに管理局局員にして壮大な反逆を企む男、レジアス・ゲイズはいた。 そこは一面が流血の赤に彩られ、朱に染まっていない所を探すのが難しい程に汚れ尽くしている。 そんな場所に立つのは二人の男レジアス・ゲイズと彼に仕える忠実なる死人ティーダ・ランスターである。 レジアスはおもむろに宙にモニターを展開して通信回線を開き副官の顔を映し出した。 「オーリス、そちらの準備はどうだ?」 『既に完了しています、死人魔道師もオーグマンもいつでも出動できます』 「そうか、ではこれから作戦行動の移るぞ。ファンゴラムも一緒に前線へ投入しろ」 『了解しました。ところで……その…ゼストさんはどうなさいましたか?』 「倒したよ、ティーダとワシがな」 『そうですか…』 「まあ、そんな事はどうでも良い。では始めようか……今の歪んだ管理世界を崩壊させる為の戦いを」 『“彼”はどうしますか? 現在待機中ですが』 「チャペルか…あいつにはこの先やってもらう事があるからな、しばらく待機させておけ。それとE・G・マインには引き続き地上本部内の掃討を指示しろ」 『了解です』 そうした会話を終えたレジアスは通信モニターを切り、死人魔道師ティーダを引き連れて部屋を後にした。 そして部屋には屍の如く倒れ付した一人の男だけが残された。 その血に濡れ尽くした男の名はゼスト・グランガイツ、かつての友を止めるべく戦いそして敗れた彼は確実に死に近づきつつあった。 「旦那ぁっ!! 大丈夫か、旦那っ!!!」 レジアスとティーダの去った室内に残されたゼストの懐から、悲痛な叫びと共に融合機アギトが飛び出した。 自身が敗れる事を悟ったゼストによりアギトは敵に見つからぬように彼の懐にか隠されていたのだ。 「なんとか…まだ……息はある…」 「旦那のバカッ! どうして融合しなかったんだよっ!? 融合さえしてたらあんな奴らなんかに…」 「…今…の俺では…融合しても…お前に負担をかける…だけだ。それに…あいつら相手ではお前が危険だった…」 「あたしの事なんて気にしなくたって良いんだっ! 旦那が死んじまったらルールーになんて言えばいいんだよっ!!!」 アギトはその小さな瞳にいっぱいの涙を浮かべながら徐々に死に近づいていくゼストに必死になって治癒魔法をかける。 それが無力で無駄な足掻きと知りながら。 「一体外の状況はどうなっとるん?」 ここは地上本部の一角、警備の為に来ていた機動六課部隊長である八神はやては混乱する状況に苦言を漏らす。 この場に来ていた自分と六課主戦力の一人であるシグナムはデバイスを持たない状況で外との通信が遮断されている為に状況が把握できず戦う術もないまま指を咥えているしかできなかった。 そしてはやては聖王教会の騎士であるカリムとシスターシャッハと共に地上本部内で待機していたのだが、そこに一人の男が現われた。 魔道師らしきバリアジャケットを着た青年を引き連れた中年の管理局高官、レジアス・ゲイズその人である。 突如として武装した魔道師を連れて現われたレジアスにその場に集まった者達はざわめきたつ。 そしてそんな状況でレジアスは唐突に声を張り上げた。 「皆の者、静まれいっ!!」 レジアスの発した怒号に場は静まり返る、彼の発した迫力は有無を言わさぬ威圧感を持っているが故に誰もそれ以上の言葉を発する事はできない。 そしてレジアスの繋げた言葉に空気はさらに冷たく凍りつく事となる。 「これより地上本部はこのワシ、レジアス・ゲイズの管理下に置かれる。そしてこの場に集まった各管理世界の方々は人質となっていただく!」 地上本部の内部警備にデバイスの持込が禁止になっていた理由、はやてはそれを今悟り表情を怒りと後悔に曇らせた。 「では始めよう。今ある秩序を破壊し、このワシが地上に完全なる平和と秩序をもたらす為の崩壊の宴を」 レジアスの狂気に染まり濁った瞳が邪悪な気配をかもし出し、自体は混迷を深める事となる。 レジアスが反逆を叫んでいた頃、時空管理局地上本部の周辺の一角では最強の死人兵士と二人の管理局魔道師が激闘を繰り広げていた。 「アクセルシューター!!」 言葉と共に放たれた大量の誘導弾が桃色の魔力光により宙に残像を残しながら美しい軌跡を描いて飛び交う。 そしてその魔力弾の数々は眼前の死人兵士に向かって正確な誘導操作に従い殺到する。だがその魔力弾の全ては死人の手にした巨大な二丁銃により撃ち落された。 しかし攻撃はこれだけで終わらない。 「ラケーテンハンマー!!」 遠距離攻撃が無駄に終わったと思われた瞬間、少女の声と共にベルカ式槌型アームドデバイスが強烈な近接攻撃を放つ。 死人は即座に背の棺を凄まじい勢いで振り回し、絶大な威力を込めた一撃でアームドデバイスの攻撃に応えた。 轟音が響き、火花が宙に散る、両者の得物が耳障りな金属音を奏で軋みを上げる。 そしてベルカ式アームドデバイスがカートリッジをロードして破壊力を増大させようとした刹那、死人の持つ棺が変形し複数の砲門を少女に向けた。 「うわああっ!!」 瞬間、爆音が響き渡り悲鳴と共に少女の小さな身体が吹き飛ばされる。 それは死人の持つ棺デス・ホーラーの技の一つDooms Rainである。それは複数のマイクロミサイルを発射する遠距離用の攻撃なのだが、死人はその武装を極近接距離に応用したのだ。 「ヴィータちゃん!」 先の誘導弾を放った少女が吹き飛ばされた仲間に声を上げる、死人はその少女の隙を逃すまいと両手に持った巨銃ケルベロスの狙いを定めて無数に銃弾を叩き込んだ。 「くうっ!」 少女は乾いた銃声と共に襲い掛かる銃弾を防御障壁で防ぎ、顔に苦渋に満ちた表情を浮かべる。 彼女は最高クラスの優秀な魔道師であった。 だがリミッターという枷と、場に満ちた高濃度AMFの影響により著しく魔法行使能力を削がれていたが故にその戦闘能力を格段に落としていたのだ。 最強の死人兵士ビヨンド・ザ・グレイヴと機動六課スターズ分隊隊長である高町なのはそしてスターズ副長ヴィータの戦いは熾烈なる様を呈していた。 なのはの放つ誘導弾は悪魔染みた正確な二丁銃の射撃に撃ち落され、砲撃を撃つタイミングも先手を打たれて潰され。 ヴィータの近接戦闘もまた背負った棺桶デス・ホーラーでの格闘戦闘により防がれる。 そしてグレイヴもまた強固ななのは達の防護障壁を上手く貫通させられず、なのはとヴィータの慣れた連携にデス・ホーラーの大技を中々使えずにいたのだった。 戦いは拮抗し、持久戦を彼らに覚悟させたのだがグレイヴがヴィータのラケーテンハンマーに対して行ったカウンターの攻撃により戦況は大きく動いた。 至近距離でデス・ホーラーのDooms Rainによりマイクロミサイルの掃射を放たれたヴィータはその爆炎に防御障壁ごと吹き飛ばされ、気を失って倒れ付したのだ。 内部の炸薬をスカリエッティにより魔力ダメージ設定のエネルギーソースへと変えられていたデス・ホーラーのミサイル弾頭はヴィータを殺すには至ってはいなかった。 その事実だけを確認したなのはは即座にヴィータの救護を諦め、眼前のグレイヴに視線とデバイスを向ける。 一瞬でも隙を見せたら倒されるという認識がなのはに氷のような冷静さを持たせた。 そしてグレイヴもまた1対1という状況に持ち込んだにも関わらず一切の油断も容赦も見せない。 永く闘争と殺しに生きた彼には理解できるのだ、この少女は簡単に屈するほどに弱くないと。 そしてグレイヴとなのはが睨み合うその只中に突如として3体の青白き影が踊りかかった。 「きしゃあああっ!!!」 それは筋肉質な身体に一糸纏わぬ姿をして、鎌のように変形した腕を持つ人間だった。 否、正確には人間のようなモノだった。 その異形の怪物達は一斉にグレイヴとなのは目掛けて襲い掛かってくる。 なのははその異形の敵に迷わず誘導弾を撃ち込み、グレイヴは背のデス・ホーラーを振り回して強烈な打撃を見舞った。 瞬時に繰り出された猛攻に異形は一瞬で倒されて白い結晶へとなり塵と消えた。 「これは……一体…何者なの?」 「……」 結晶となって滅びた未知の敵になのはが思わず声を漏らし、グレイヴは無言のまま塵となった敵の残骸を見つめた。 敵の名は“オーグマン”かつてグレイヴがいた世界で人間を改造した悪魔のような異形の怪物である。 混迷を深める事態はさらなる混沌に彩られる。 そして死人は思う、もうじきこの狂った舞台には容赦ない血の雨と屍の山が加わるだろう事を。 続く。 解説。 「マイン・ザ・E・G・マイン」 ここでは説明する必要ないくらい有名かもだけど一応説明します。 トライガンに登場するGUN-HO-GUNSの一員でミスターハリネズミな外観の男。 全方向に発射可能なスパイクを飛ばします、そして三下臭プンプンですがな。 「オーグマン」 ぶっちゃけて言うとマッパのマッチョ、以上。 青白い身体で腕やらなんやらを鎌だのマシンガンだのロケットランチャーだのに変形させて攻撃してくる。 そして倒されるとガラスのように砕け散って塵と消える、後には何も残らない。 そしてマッパ、そしてマッチョ、なんと言おうとここ重要。 前へ 目次へ 次へ
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ギアーズオブウォー3関連商品まとめ 2011年9月22日に発売される商品です。期間限定なのでご予約はお早めに! 公式サイト ギアーズオブウォー3関連商品まとめXbox360 320GB Gears of War 3 リミテッドエディション Gears of War 3 Xbox 360 ワイヤレスコントローラーSE Gears of War 3 リミテッドエディション Xbox LIVE12ヶ月 + 2ヶ月ゴールド メンバーシップ(Gears of War3 エディション) Xbox360 320GB Gears of War 3 リミテッドエディション 2011年9月22日発売 39,800円 ゲーム機 Xbox360 S(オリジナルデザイン) 記憶装置 ハードディスク320GB コントローラー ワイヤレスコントローラーSE(オリジナルデザイン)×2 ケーブル コンポジットAVケーブル その他 取扱説明書ACアダプターヘッドセット(リキッドブラック)単三乾電池×4 ゲームソフト Gears of War 3(通常版) マルチプレイヤーモード用キャラクター「アダム・フェニックス」のダウンロードコードが同梱。 マルチプレイヤーモード用5つの武器のスキンパック「インフェクテッドオーメン ウェポンパック」のダウンロードコードが同梱。 とてつもなく豪華なセット。 ハードディスクが250GBから320GBに。ハードディスク320GBが手に入るのはこのセットのみ。 ギアーズオブウォー仕様の本体にギアーズオブウォー仕様のワイヤレスコントローラーSEが二つ同梱。 Gears of War 3(通常版)もセットになっています。 現在発売されている本体の中で最もお買い得なセットです。 Gears of War 3 リミテッドエディションやGears of War 3 エピックエディションの特典が付かないのが唯一の欠点です。 期間限定品なので予約必須です! 欲しい人は急いで予約しましょう! http //www.xbox.com/ja-JP/Marketplace/Product/GearsofWar3/lineup/bundle 関連ページ:限定版 Gears of War 3 2の続編。マーカス・フェニックスシリーズ最終章。 キャンペーンモードはオンライン最大4人で遊べます。 協力プレイは最大5人で迫り来るローカストHordeモードと最大5人でローカストになって人類と戦うBeastモードの二種類。 最大10人のオンライン対戦も搭載。 全てのモードが分割画面に対応しています。 ジャンル アクションアドベンチャー 発売日 2011/09/22 価格 7,140円 オフライン 1-2人 オンライン 2-10人 対象年齢 Z(18才以上対象) 公式サイト http //gearsofwar.xbox.com/ゲームマーケットプレイス 攻略Wiki Gears of War 3 @ ウィキ 動画 YouTubeで検索する ニコニコ動画タグ:GoW3 GameTrailers.com +参考動画を見る 別ウインドウで動画を見る 別ウインドウで動画を見る +各エディションの違い 各エディションの違い Gears of War 3 リミテッド エディション Gears of War 3 エピック エディション 通常版 リミテッドエディション エピックエディション 値段 7,140円 8,190円 15,540円 ゲームソフト ◯ ◯ ◯ オクタスアワードボックスを再現した特製ケース ☓ ◯ ◯ オクタス褒章メダル ☓ ◯ ◯ COG 布製フラッグ ☓ ◯ ◯ アダム フェニックスの所持品 ☓ ◯ ◯ マルチプレイヤーモード用キャラクター「アダム・フェニックス」 ☓ ◯ ◯ マーカス フェニックス限定フィギュア ☓ ☓ ◯ アート デザインブック ☓ ☓ ◯ マルチプレイヤーモード用5つの武器のスキンパック「インフェクテッドオーメン ウェポンパック」 ☓ ☓ ◯ 関連ページ:おすすめソフト TPS Xbox 360 ワイヤレスコントローラーSE Gears of War 3 リミテッドエディション ¥5,775 無線 単三乾電池2本又はバッテリーパック使用 バッテリーケース (単 3 形乾電池 2 本使用)が同梱 マルチプレイヤーモード用 5つの武器のスキンパック「インフェクテッドオーメンウェポンパック」ダウンロードコード 十字キー改良型のワイヤレスコントローラーSE。 十字キーを回転させると十字キーがせり上がり4方向入力に最適な状態に出来ます。 国内ではプレイ チャージキットが同梱されたシルバーしか販売されていないのでコントローラー単品で欲しい人向け。期間限定なのでご予約はお早めに。 関連ページ:ワイヤレスコントローラー/いっしょに買うと便利なもの Xbox LIVE12ヶ月 + 2ヶ月ゴールド メンバーシップ(Gears of War3 エディション) ¥5,229 14ヶ月ゴールドメンバーシップ マルチプレイヤーモード用武器スキンパック ダウンロード用 ご利用コード Amazon.co.jpでは4,272円で購入できる。 一ヶ月あたり約305円で他の商品に比べお買い得。 関連ページ:Xbox Live
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「異世界から、か。確かに珍しいことだな」 食後のコーヒーを啜ってからシグナムは納得顔をする。 「ええ、私も最初はびっくりしました。しかもあんな子までいるなんて」 彼女に相対して話をしているのはフェイト。そう言うと彼女はチラと視線を移す。 「このっこのっ!」 「へっへー、まだまだ甘いんだよ!そらぁ!!」 カチャカチャと必死にコントローラーを操る者が二人。 ソファー越しのフェイトの視界には赤毛の三つ編みと一本のツノが見える。 『YOU WIN!!』 「やっりぃ~!」 テレビ画面の中で格闘家風の男が勝利のポーズを決めた。 それと同時にヴィータは拳を振り上げて喜ぶ。 その横には、 「だぁーくそ!!もう一回だもう一回っ!」 ジタバタと手足をバタつかせるメタビーがいた。 つもる話。二人は格闘ゲーム、略して格ゲーをしていたのだ。 「いいぜー、何度でもボッコボコにしてやんよ」 「なめんなっ!オレは同じ相手に負けで終わったことはねぇんだよ!」 面を付き合わせて火花を散らせる両者。 既に5対戦ほどしているのだが、今のところヴィータの5連勝中である。 そして、いざ第6試合目が始まろうとしたとき―― 「こ ら ー ! ! いつまでやっとるんや二人とも!!」 ガチッ! ゴツッ! 「「痛ってぇ~っ!?」」 いつの間にか後ろにいたはやてからゲンコツの雷が落ちた。 第五話 「ダベリ DE 八神家」 しばらく時間を戻すと―― なのは、フェイトに連れられ八神家を訪れたイッキとメタビー。 クロノとリンディは「少し仕事があるから」とアースラへ出かけていった。 昨日のように光に包まれて、いわゆる『転送』されていったのである。 家主であるはやての出迎えを受け、玄関をまたぐ。 「まずはみんなに紹介するさかい、リビングに行こか」 「みんなって?」 わりと大きな家だ。いったい誰と住んでいるのか気になったイッキが聞くと 「そら、もちろん・・・」 家族に決まっとるやん、と笑ってこちらを見るはやて。 そう言ってあるドアを開くと中へ入っていった。 彼女に続いてなのは、フェイトもドアをくぐる。イッキたちが部屋に入ったところで、 「みんな、お客さんやで~」 「ん?誰だよはやて、うちに客なんて」 テーブルではヴィータが朝のホットミルクを飲んでいた。 床に足が届いていないため、足をぶらぶらさせている。彼女はドアの方向を見ると、 「・・・な~んだ」 なのはとフェイトじゃねーか、と再びマグカップに口をつけた。 件の闇の書事件以来、八神家の面々――特に守護騎士たちは管理局への協力も しながら、一方では至って人間らしい生活を過ごしている。 騎士の一員であるヴィータも、なのはたちと対立していた時から比べれば幾分は 大人しくなったのだが、口の悪さはそうそう治らないようだ。 「こらヴィータっ、失礼な言い方するんやない!」 「だってよぉ~」 腰に手をあてて注意するはやてだが、ヴィータはお客の二人を見て気だるそうに言う。 「なのはとフェイトがうちに来るなんて珍しくねぇじゃんか」 「ははは・・・まぁそうなんだけど」 彼女の物言いに苦笑いを浮かべるなのは。この子の扱いは難しいなと内心で思ったりする。 「今日はちょっと用事があって来たんだよ。ね、はやて」 話を進めようと目配せするフェイトに、はやてはそうそうと頷くと、 「実は二人以外にもお客さんがおるねん。それとヴィータ、口の利き方は気ぃつけや」 「はぁ~い」 「ところで主、その客人の姿が見えないのですが?」 気の抜けた返事を返すヴィータにはやては再び睨みを利かすが、シグナムが疑問を 口にしたために、え?と後ろを振り返る。 「あれ?ちょっとイッキくん、どこにおるん?」 「ここにいるけど」 「おい、もう慣れたけどオレのことも忘れんなよ!」 なのはとフェイトの後ろから件の二人の声がする。 残念なことにイッキは彼女らよりも身長が低かったようだ。 まして約1メートルのメタビーは言うまでもなく完全に死角に隠れていた。 その二人を、ほらと前に押し出してあげるフェイト。 あれ、デジャヴか?さっきもこんなことがあったような・・・ 「ん?おぉーーーー!!!!」 いきなり大声を出したのはさっきまで気だるげだったヴィータだった。 「な、なんやヴィータ。驚くやんか・・・」 急にテンションの上がった彼女にはやては言うが、当の本人はその横を通り抜け、 「す っ げ ぇ ー ー ! ! 本物だ動いてる~!!」 電光石火のごとくメタビーの至近距離まで近寄り、キラキラと目を輝かせた。 頭の発射口から爪先のさらに先まで舐めるように見回す。心底楽しそうだ。 しかし見られている方は気味の悪いことこの上なく、 「お、おい・・・何なんだよお前・・・」 当然の反応だ。メタビーは思わず後ずさる。が、 「おーーー!!?すげぇ喋ったーー!!」 声を出したことが逆に引き金になったらしく、更にマジマジと見られることになった。 もともとロボットが好きなヴィータのことだ、実際に動いて喋るロボットが 目の前に現れれば、はしゃぐのも無理はないのだろう。 「はいはい、ヴィータ、お客さんが困っとるやろ?」 「あ!何すんだよはやて~」 ネコのように首根っこを?まれて引き離されたヴィータはジタバタと暴れる。 一方でメタビーはホッと息をついた。 「あら。はやてちゃん、騒がしいけど何してるんですか?」 キッチンで洗い物を済ませたらしく、エプロンを外しながらシャマルが出てきた。 「あ、シャマルもちょうどいいとこに来たわ。イッキくん自己紹介してくれへん?」 「え、ああ。えーっと俺は――」 かくして八神家の面々に対しての自己紹介を済ませ、イッキはテーブルに座り、 はやてを中心に色々と話をしていた。 メタビーはというと、案の定と言うべきかヴィータのおもちゃ状態にされ、 あっちこっちのパーツを触られたり背中のメダルハッチを開けられそうになったり・・・ 「ぉーいイッキ~、こいつをなんとかしてくれぇ~」 まさに『揉みくちゃ』にされているメタビーが悲痛に助けを求める。が、 「そっちでなんとかしろ~、俺はこっちの話で忙しいの」 にべもなく突き放されてしまった。実に不運だ。 と、見かねたシグナムが 「ヴィータ。一応は客人だ、あまり主に恥をかかせるな」 「ちぇ」 はやての名前を出されたこともあり、ヴィータは渋々ながらメタビーを開放した。 「はぁ~、助かったぜ・・・」 再びホッと息をつくメタビー。 それからテーブルへと向かい、ヴィータははやての、メタビーはイッキの横に座る。 「それにしても、本当によくできたロボットやなぁ」 まるで人間みたいや、とはやてが純粋に興味を示す。 彼女にとってロボットといえば、ヴィータがよく見ている巨大ロボや合体マシンなど、 いわゆる人間が操るタイプがほとんどだ。 しかし、目の前にいるのは人間のように自分で行動したり会話したりしている。 「そうそう!あたしも最初に会ったときはすごくビックリしたんだよ!」 なのはも砂漠で初めて会話したときのことを思い出した。 レイジングハートやバルディッシュのようなインテリジェントデバイスも 高度なコミュニケーション能力を持っているが、やはりどこか機械的な部分がある。 自分の相棒と比べても、メタビーの存在は驚きに値するものだった。 「それに、新聞も読んでたよね」 「え?それホントなのフェイトちゃん」 うん、と昨日のことを思い返しながら返事を返すフェイト。 確か昨日は4コマ漫画に没頭していたっけ、と思い出し笑う。 それらの感想に対してメタビーは首を捻る。 「別にオレだけじゃねーさ。他のメダロットもみんなそうだったぜ?」 「え?メダロットってメタビーだけちゃうん!?」 元いた世界ではあっちこっちにメダロットがいたためメタビーは意識せずに言ったが、 そんなことを知らないはやては柄にもなく驚いた。 そして、それはなのはとフェイトも同じらしく、目を丸くしていた。 「じゃあ、他にもそういうロボ・・メダロットが沢山いるの?」 「ああ。ほとんどの子どもには俺みたいにメダロットがいるんだぜ」 フェイトの質問に対して、イッキはごく当たり前のように答えた。 こいつは特に人間臭いんだけどな、と付け加える。 それを聞いたなのは・フェイト・はやての頭の中では、町の至るところを 沢山のメダロット(ただし架空の)が闊歩し始めた。 「なんだか、想像したらちょっと怖いね・・・」 眉を八の字にするなのはと、 「そうかな?私は面白いと思うけど」 その表情を見て意外そうな顔をするフェイト。 「うん、うちもそんな世界に行ってみたいわ!」 そして3人の中で一番楽しそうに笑うはやて。 ちなみに各々の反応の違いは、それぞれが想像したメダロットの違いだと思われる。 「それで、みんながメダロット持ってるってのは分かったんやけど、 何のために持ってるん?」 ここまで聞いてはやての頭に浮かんだ、『メダロットを持つ意味』への質問。 「え?何でかって言われると・・・」 それに対してイッキは腕組みをして考え込む。 なんでメタビーと一緒にいるんだろ? 彼にとってメダロットが欲しかった当初の理由は、「みんなが持っていたから」だった。 親にせがんでも「自分で買いなさい」と言われ、必死でお小遣いを貯めたのだ。 たまたまアリカを助けるために中古のボディを買って・・・ それ以来、自分の横にはいつも生意気な、でも大切な相棒がいる。 おそらく、俺がメダロットのメタビーと一緒にいるのは―― 「「友達だから」」 イッキとメタビーは同時に、そう言った。 「え?」 「ん??」 思わず顔を見合わせる。 どうやら互いに同じことを考えていたらしい。が、そのことに気恥ずかしくなり、 「おい、マネすんなよメタビー!」 「バカ言ってんじゃねーよ!イッキこそマネすんなっ!」 なぜかケンカになる二人。「ふんっ」と同時にそっぽを向く。 この急展開になのはとフェイトは一瞬ポカーンとするが、すぐにクスッと笑い、 「つまり、メタビーとイッキはすごく仲がいい友達同士なんだよね」 「うんうん!ケンカするほど仲が・・・」 「「よ く な い ! !」」 なのはの言葉を遮り、背中を向け合っていた二人は力の限り叫んだ。 「そんでさ!そんでさ!メタビーはゲームとかできんのか!?」 互いにふんぞり返るイッキとメタビーを見てクスクスと笑うはやての横から ヴィータが身を乗り出した。 「あ?ゲーム?」 突然聞かれたメタビーは聞き返した。 「ゲームっていうと、あれか?テレビに繋いでするやつ」 「そうそう!一緒にやろうぜ!」 「おっ、あるのか!? へへっ、やるやる~♪」 さっきのご機嫌斜めはどこへやら、メタビーは椅子から勢いよく飛び降り ヴィータと共にソファーへ走っていってしまった。 「ヴィータ~、ゲームは一日1時間やで~!」 「はーい」 どこの家庭でもよく聞かれるような台詞だが、ここ八神家でも漏れなく使われて いるようだ。 生返事をしたヴィータはイソイソとケーブルをテレビに繋げている。 「なんか、はやてってお母さんみたいだな」 自分も母・チドリから散々言われた経験からか、イッキは率直にそう思った。 メタビーと張り合ってゲームに熱中しては、怒られていた記憶が甦る。 (といっても、チドリの場合はとびっきりの笑顔で怒るので余計に怖い) 「え、うちってそう見えるんか?」 言われたはやては微妙な顔をする。 普通は小学4年生が言われるような台詞ではないので、当然っちゃ当然だが。 「確かにはやてちゃんは、八神家の母親役ですものね~」 「私も同感です。特にヴィータの相手をしているときなどは・・・」 シャマルがふふっと笑い、シグナムは同意を示すように頷く。 (外見は)妙齢のお二方がそんなことを言うのも問題ありな気がするが、まぁいいか。 「なんや、二人までそないなこと言うて~。あ、ザフィーラはどう思うん?」 会話に参加せず床に寝そべっていた青い毛並の守護獣は、ふと顔を上げると 「・・・・(コクリ)」 無言で頷いた。肯定か否定かはっきりしないが、流れからしておそらく前者だろう。 「満場一致みたいですね」 「はぁ~、知らんかったわ・・・」 シャマルが口元に手を当てて笑うと、はやては首をカクッと落とす。 その様子にテーブルの上はひとしきり笑いで満たされた。 それからしばらく、イッキたちは元いた世界のことなどについて色々と談笑し、 メタビーとヴィータは白熱した格闘戦を繰り広げていた。 まぁそれも、見かねたはやてのゲンコツによって強制中止になったわけだが。 12時が近くなると、あっと思い出したようになのはが立ち上がり、 「イッキくん、お昼からはアリサちゃんとすずかちゃんに会いに行くんだよ」 「んぁ?誰だよそれ?」 またもや知らない名前を出され、聞き返すしかないイッキ。 「なのはのお友達だよ。二人ともいい子だから、きっと友達になれるよ」 帰り支度をするフェイトが説明してくれた。 と言っても、会ってみなければどんな人なのかは分からないわけで。 「二人とは町のデパートで会うつもりだから、ついでにお買い物もしよっか」 財布の中身を確認するフェイト。 おかしなことに、小学生にしては大そうな金額が入っている。 「ええっ!?なんやそのお金・・・まさかフェイトちゃんのお小遣いか?」 ちらっと中身を拝見したはやてがその金額に驚きの声を上げるが、 「ち、違うよ!リンディさんから貰ったんだよ、その・・・『服代だ』って」 慌てて否定するフェイトの様子と『服代』の単語にピンときたのだろうか。 はやては、ちらとイッキの服装を見る。ところどころに土汚れがついていた。 「そっか、イッキくん一張羅なんやろ?それ」 「え、あ~そうだな。コレのまま飛んできちゃったみたいだから」 自分の赤いシャツをつまむ。お気に入りだったからまぁいいけど。 そういうことなら、とはやては何かを思いついたようだ。 「よし!うちも一緒に行くわ。そんで、新しい服を選んだる!」 「はやてちゃん?」 「ええやろシャマル?そろそろ買出しもせなあかんかったし、一石二鳥や」 「う~ん、そうですねぇ・・・」 いきなりの提案にシャマルはひとまず考える。と、その横から 「いいのではないか? 子どもたちだけで行かせるのが心配なら、大人のお前がついて やれば無難だろう」 シグナムが口を挟む。 「な?シグナムもああ言うてることやし、行こ!」 「ん~・・・じゃあシグナム、留守番お願いね」 「ああ、任せろ」 リーダーの承諾を受け、はやてとシャマルは出かける準備を始めた。 買い物組の準備が整ったところで、一つの疑問がなのはの頭に浮かぶ。 「そういえば、メタビーくんはどうするの?」 こちらの世界ではメダロットは存在しない。 というか、そんな高性能なロボットが街中をうろつく習慣がない。 そんな中を普通にメタビーが歩いていれば、当然なんらかの騒ぎが起きるだろう。 でもアリサちゃんとすずかちゃんにも会わせるって言っちゃったしなぁ、と悩むなのはに、イッキはさも当然のように言ってのけた。 「ん?そのアリサってやつらと会うときだけ転送すれば大丈夫だろ」 「え、転送?」 「ああ、メダロッチですぐ呼び出せるし、こっちに送り返すこともできるぜ」 白いメダロッチが見えるように左腕を上げる。 「・・・そんな便利な機能がついてたんだ、それ」 一見すると腕時計にしか見えない代物を眺めるなのは。 あのメタビーといい、メダロッチといい。いったいどこまで文明が進んでいるのか・・・・ 「じゃあみんな、行ってくるわ~」 「はい、お気をつけて」 「行ってらっしゃい、はやて!」 靴を履き立ち上がった家主を、シグナムとヴィータは見送る。 「メタビー、俺が呼び出すまで大人しくしてろよ?」 玄関をまたごうというときにイッキが相棒に振り返ると 「へんっ、言われるまでもねぇさ」 手を頭の後ろに乗せてメタビーは素っ気なく応えた。 「お邪魔しましたー、じゃあねヴィータちゃん!」 「おう、また来いよな」 ヴィータの返答になのはは思わず笑ってしまう。朝に会ったときは気だるげだったのに、 今は「また来い」だなんて・・・やっぱりこの子は面白いな、と内心で呟く。 「シグナムも、またね」 「ああ・・・」 打って変わって、こちらはごく静かに別れた。 その後。玄関を閉め、なのは・フェイト・はやて・シャマル、そしてイッキの5人は 最寄のデパートへ歩き出す。 「よし、はやても出かけたことだし・・・続きやるかメタビー!」 「おう!今度こそ俺が勝つからな~!」 意気揚々とリビングへ戻った二人の目に、キレイさっぱり片付けられたゲーム機が映った。 その横にはザフィーラが寝転んでおり、一言。 「ヴィータ、主の代わりに俺がもう一度言ってやろう――」 『 ゲ ー ム は 一 日 1 時 間 ま で だ 』 戻る 目次へ 次へ
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第2話 魔法のある世界 剣崎達はティアナ達に連れられて、この世界のことを知る人物がいるという場所に向かっていく途中である。 「すみません。剣崎さん、飲み物持ってもらっちゃって。」 「いいっていいって。」 「ところで、この場所知っている人ってどんな人?」 橘がそう聞くとスバルが答えた。 「え~と、元々はこの世界に住んでたって聞いてます。今は任務があるからって私たちも来たんです。」 スバル達が会話しながら歩いていると、その人物がいるところに着いた。 「ここなのか?」 「はい」 剣崎達が着いた瞬間この世界の住人なのはとフェイトとはやてが剣崎達のところに来て 「あなた達がティアナが話してた人たち?」とフェイトが問いかけた。 「はい。そうですけど・・・。」「じゃあ、名前教えてくれるかな?」 「俺は剣崎一真だ。」「橘だ。」「・・・相川始だ。」「俺は上城睦月です。」 と剣崎達は自己紹介を終え、はやて達も紹介を終えこの世界のことを説明を始めた 「では説明します。ここはあなた達がいた世界とは違います。」とはやてが言う 「え?そんな・・・」「バカな・・」剣崎達はショックを隠せない。 「でも、ここは日本ですよね?」「はい。ここは日本の海鳴市。ティアナから報告があったんやけど、 あなた達が戦ってたのは一体なんです?もしかしたら私たちも協力しますんで。」 剣崎達は先ほど戦ったアンデット達のことそして、バトルファイトのことをはやて達に話した。 「もしかしたら、スカリエッティが関係してるかも・・・」 「スカルエッティ?誰だそいつ?」フェイトはスカルエティや今まで起きたことを剣崎達に話、そして 「よし、じゃあ俺たちの世界が危ないけどこっちも危ないから、俺は協力するよ。」と剣崎が言った。 「け、剣崎?」「剣崎さん?本気なんですか?」橘と睦月は協力には否定して、始は「俺は剣崎に 賛成してる。今の状況を考えてみろ。」それは始が珍しく橘と睦月に言って 「もしかしたら、 あなた達が追っている天王路って人もスカリエッティに協力している可能性があると思うんだけど」 フェイトがそういって「たしかに・・・今はここで争っている場合じゃない。」 橘がはやてに向かってこういった 「俺たちしばらくの間協力する。それでいいか?」橘が言って「本当ですか~?ありがとうございます。」 「だけど、そのまえに、任務があるんだけど協力してくれるかな?」となのはがいい。 「あなた達の力もみたいしね」フェイトもこういい。 「じゃあ、剣崎さんと始さんはスバルとティアナのところで、橘さんと睦月さんはエリオとキャロのところでいいですか?」 「「「「ああ」」」」 始と睦月は何かに気づいた 「なあ、いつから俺は相川さんから始さんになったんだ?」「俺もそう思った。」 「え?ああ、それはやね、え~と・・・」とはやては顔真っ赤になっていた。 「始さんてお兄さんって感じがするんよ~。うち兄弟いなかったから」 「そうか・・・悪いことをした」始は謝った瞬間 「はやてちゃん。クラールヴィントが対象をキャッチ」 「みんな。頼むよ」 「「「「はい」」」」と新人フォワード達がいい 「俺たちもやるぞ。」 「「ああ」」「はい」 剣崎達も戦闘の準備を始めた。 そして、任務が開始された。 「マッハキャリバー」 「クロスミラージュ」 「ストラーダ」 「ケリュケイオン」 「「「「SET UP」」」」 彼女たちが自分たちの相棒をの名前を呼んで。先ほどの服が代わった。 そして剣崎達は自分たちのバックルを出し 「「「「変身」」」」 剣崎、橘、睦月の前にカテゴリーAが描かれた光が現れ剣崎はブレイドに、 橘はギャレン、睦月はレンゲルに変身し、始はマンティスアンデットの力を借りカリスに変身した。 「これが、剣崎さんたちの力なんや・・・」そうはやてがいい。 ブレイドとギャレンはラウズアブゾ-バーにQとJを入れ。 「「アブソーブクイーン」」「「フュージョンジャック」」 ブレイドとギャレンはジャックフォームとなった。 そして、その相手が剣崎達にとっての初出撃となった。 「よし。今だ。」 「サンダー、スラッシュ」 「ドロップ、ファイアー」 「トルネード、ドリル」 「スクリュー、ブリザード」 「ライトニングスラッシュ」 「バーニングスマッシュ」 「スピニングアタック」 「ブリザードゲイル」 「ディバインバスタァァァァー」 「クロスファイアー・・・・シューーート」 「一閃必中・・・・はあああああああ」 「フリード、ブラストフレア、ファイア」 「対象からレリックを確認リィンお願いできる?」 「はいですぅ。」 剣崎達のお陰で任務が終わり剣崎達はなのは達が今住んでいる、ミッドチルダに移動した。 戻る 目次へ 次へ
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~フロシャイムミッドチルダ支部アジト(仮)~ 「フロシャイムの怪人たちよ良くぞ集まってくれた…」 普段とは打って変わり薄暗い居間にて、ヴァンプは壁にかけたフロシャイムのロゴを背に立っている。そしてそれを囲むように怪人たちが集まっていた。 「明日行う作戦について話そう…まず当日は3つのグループに別れてもらう。1号、2号、タイザ!アジトに残り守りに徹するのだっ!!」 「「「キーッ!!(ハイ!!)」」」 「次にデビルねこ、Pちゃん改…お前達は緊急時に備えアジトにて待機。そして残るメダリオ、カーメンマン、ウサコッツは私と共にリニアレールで聖王医療院へと向かうのだ!!何か質問はあるか?」 「ハッ!ヴァンプ様、何故病院へ向かわれるのですか?」 一通り説明が終わった所で1号から質問が出る。それに対しヴァンプは作戦時独特の口調で答えた。 「1号よ、これは我々にとって重要事項なのだ。それは… 聖王医療院に入院されておられる元参謀、ミレガス樣のお見舞いだ!!」 『天体戦士リリカルサンレッド』この物語はミッドチルダにて繰り広げられる善と悪の壮絶なる闘いの物語である――― FIGHT.03『遭遇、命無き兵団!!』 「んしょ、え~っと聖王医療院前は…あったこれだ!!」 駅に着いたヴァンプ達一行は切符を買うために券売機に向かおうとし、そこでウサコッツが「あ、僕やる~っ!!」と元気よく言い、ヴァンプは彼に頼むことにしたのだが… 「あ、小銭が足りない!?え~っとないからお札を…『投入金が不足しています』あ~もぅ五月蝿いなぁ~っ!!」 小銭が足りずにモタついてる所を音声案内に催促され、それにうんざりしながらも切符を購入出来た。 「はぁ~やっと買えたよ…いつも思うけど券売機とかって少しでもモタつくとすぐに催促するよね、10秒弱で。 友愛も子ども手当てもいいけどさ…『待ってあげる優しさ』って言うのも大切だと思うよ。最近はそう言うのが蔑ろにされ過ぎだよね全く…あ、ヴァンプ様~切符買えたよ!!」 「ありがとうウサコッツ。さ、皆ホームへ行くよ」 ウサコッツから切符を受け取った一行はリニアレールへと乗り込んだのだった… 「うわぁ~速い速い!!」 「相変わらずお子ちゃまだなぁ~ウサは(笑)」 「ほらほら二人とも、周りの人に迷惑になっちゃうから静かにね。ん?どうしたのカーメンマン?」 初めて乗るリニアに興奮しているウサコッツとそれを茶化しているメダリオに注意をしていたヴァンプは顔を下に向けて憂鬱そうにしているカーメンマンに気付き声をかけた。 「いや、これ(リニア)だと聖王医療院まで遠回りじゃないですか。笹塚~下北沢を徒歩じゃなく新宿経由で向かう感じで。車だともっと早く行けたからなぁって思って…あぁ無理してでも持ち込んどけば良かったよなぁ~」 ミッドチルダの交通事情は溝の口や日本の都市部と比べ、お世辞にも良いとは言えない。 リニアレールは設置こそされているがそれはミッドチルダ全域を山手線の様に円上に走っているのみであり地上本部のある中心部、首都クラナガンへ向かうにはバス等が主流となっている。 この背景には太陽光発電や水素と酸素を化合させ、発電する燃料電池など環境に配慮した所謂エコカーが低価格で普及しており、 地球と比べ軽自動車クラスなら一般家庭でも容易に手が届くことで、車社会に拍車をかけている要因として挙げられる。 特に最寄りの駅まで徒歩40分以上かかるなど公共の交通機関があまり充実していない六課の周辺地域はそれが顕著だ。 そしてカーメンマンが浮かない顔をしているのは今回のリニア利用の件だけでなく、アジトからかなり離れた場所にあるスーパーへ買い物に行くヴァンプ将軍を思ってのことだ。 自分達も荷物運びを手伝っているとは言え、決して若いとは言えないヴァンプが週に何回も店とアジトを往復している姿を見ると「手続きが面倒だから」「動力部の規格を変更すると高いから」と言って持ち込まなかった事を申し訳なく思う。 他にも理由はあるがそれが一番大きな理由だ。 「カーメンマン、ありがとうね。皆の為に色々と考えてくれているだけで、私は充分に嬉しいよ」 「ヴァンプ様…」 いつもの温厚さに加え、ヴァンプの表情はどこか嬉しそうな感じだった。実の所ヴァンプはカーメンマンが悩んでいた事も、それが車に関する事であったのも知っていたのだ。 なぜならちゃぶ台のカーメンマンがよく座る周辺には「管理世界への規格外車持ち込み手続きのパンフ」や「動力部変更の見積りサービスのチラシ」等が置いてあったからだ。 だがそれがなくとも長い付き合いである彼らには何となく察しが着いていたようである。 「こういうの(リニア)に乗れるのって滅多に無いからね。それに歩くのだって立派なトレーニングだよ? 買い物と一緒にやれば一石二鳥だと思うの、私。だからカーメンマンが悩むことはないと思うよ」 「そーそー、車だってアントキラーに預けてあるんだろ?だったら別に良いじゃんかよ」 「それが余計に心配だっつーの!!あぁ絶対キズ付けるってアイツ。コ○ルカモ補償入ってないのに~」 「も~考えすぎだよカーメンマン。アントキラーはとても君の事を大切にしているんだよ。兄弟なんだし信じてあげる事も大切だと思うの、私」 槍と盾を網棚に乗せ、ヴァンプはいつの間にか寝てしまったウサコッツを抱えながら、カーメンマンをやんわりとたしなめる。カーメンマンは(アントキラーに関して)納得のいかない様子で、サングラス越しに景色を眺めながら「ウ~ン」と唸っている。 だが実際の所、アントキラーは兄の車をマンションの地下駐車場にシートをかけて丁寧に保管しており、自身の負担で車検やメンテナンスにも出している。そして遠出をする際には専ら、中古で購入したヒーロー風の赤いバイクを乗り回しているのだった。 そしてメダリオの「所で何でまたこのメンバーで行くんですか?」と言う問いにヴァンプは「やっぱり知ってる顔ぶれでいった方が向こうも安心するでしょ」と答えた所でちょうど聖王医療院前へと着いた。 ヴァンプ達は院内へと向かうのだが、普段常に持っている筈の『何か』を忘れていたのだった… ~聖王医療院、内科特別病棟・個室203号室~ 「おぉ~よく来たなヴァンプ!!」 くたびれた頭巾を被った老人、ミレガスはベッドから身を起こし点滴と腕を繋がれながらも元気そうに迎える。 「ミレガス樣、お久しぶりです」 思ったよりも元気そうな姿に安堵しながらヴァンプはセンヌキヤのフルーツバスケットを手に深々とお辞儀をし、他の怪人達もそれにならい挨拶をする。だがそれも「あ~そう畏まんな」と一蹴されてしまう。 「いえ、でも思ってたよりもお元気そうで良かったです。肺に影って聞いた時は心配しましたから…」 「まぁ良性だったからなぁ~それにこんなナリ(改造人間)だがこっちにもその手の技術があってな、医療技術も保険もミッドのが良いからこっちに来たのさ。 おかげでこの通りピンピンだ。いやぁ~しかし悪いな、折角来てくれたのにこんな状態で」 「そんな無理をなさらずに、ミレガス樣にはミッドチルダ渡航の手配をして下さいましたし…また日を改めてお礼に伺います」 「ま、こっちにもそれなりのパイプがあるって訳だ。だから礼なんぞ気にすんな 。ちゃんと次元征服に向けてのノウハウを学んでくれりゃあ問題ないからな」 「あ…はい、私たち頑張ります!!」 ミレガスの元フロシャイム参謀とは思えない言葉にヴァンプ達は表情を引き締めて答える。その後はミッドチルダでの暮らしや最近仲良くなったはやて達六課の人々の話などに華を咲かせ、平和な時間が過ぎていった… ~ミッドチルダ山岳地区リニアレール付近~ 「皆よく頑張ったね。それに初陣とは思えない位よく動けてる。これはメニューを組み直さないといけないかな…」 空中のガジェットを迎撃していたなのははキャロがフリードの制御に成功しエリオと共にガジェットを殲滅、ティアナとスバルもエリックを確保出来たと言う連絡が届き皆が無事だったことに安心していた。 だがそれ以上に嬉しかったことがある。それはフォワード陣の活躍だ。正直に言うともう少し手こずるかと思っていたが、皆が冷静に対応し予想以上の動きを見せてくれた。教え子達の思いがけない成長を思うとデバイスを握る手にも俄然、力がこもる。 「後はスバルとティアナが貨物車から客車を通ってリィンと合流、そして私たちが残りの空域にいるガジェットを殲滅すればミッションコンプリートだね。頑張ろう、フェイトちゃん」 「うん。エリオとキャロも頑張ったんだし、私たちもウカウカしてられないよ」 だがなのはとフェイトの二人が残りのガジェットに向かおうとした時、ロングアーチから緊急連絡が入った。 『こちらロングアーチ、衛星カメラにて現場に高速で接近する未確認物体を確認!!距離…これは!?』 「どうしたのシャーリー?」 『こちらでも確認できたです!!現在は減速してるですが最高瞬間速度は78km/s、とっても速いですぅ!』 リィンのから報告を聞き、なのはとフェイトは二人の驚きに納得しつつも警戒レベルを上げる。瞬間的とは言え秒速78kmを叩き出すような相手だ。 このタイミングで現れると言うことはガジェット側の援軍である可能性が高い。そう思い身構えていると予想外の事が起こった。 私たちを囲んでいたガジェットの群れが、やっと視認出来る距離にまで接近しているアンノウンに向かっていき、攻撃を仕掛けたのだ。 まるで私達よりもアンノウンの方が脅威であると判断したかのように…そして内包しているミサイルやレーザーを一斉掃射する。 対するアンノウンは光る微粒子を撒き散らし、赤い光を放ちながら輝いていた。 赤く発光している為に詳細な姿はまだわからないが、ソレは雨霰の如く降り注ぐミサイルやレーザーをまるでその隙間を縫うように舞い踊る様に、残像を残しながらアクロバティックな動きで回避する。 さらにそのすれ違い様に、発光しているソレは迫り来るガジェットの群れを体当たりで貫いていった。 そして半数以上のガジェットが撃墜された所でソレから赤い輝きが消え、姿を表した。 光が消えた先に有ったのは小さな体。 サッカーボール位の鮮やかな黄緑色をした小鳥の様なぬいぐるみとその下に抱えられている角が生えたオレンジ色の猫型ぬいぐるみ。 そのクチバシや角にはガジェットの物と思われる塗料や鉄屑がこびりついている。 そこでなのはとフェイトは思い出す。忙しかった為にまだ顔合わせ程度の挨拶と自己紹介しか済ませていないが、フロシャイムに所属している子達、確かデビルねこ君とPちゃん改だった筈だと… ならば援護に来てくれたのか?否、ここで楽観視する訳にはいかない。 相手はまがりなりにも悪の組織だ。レリックを目当てに現れた第三勢力の可能性だってある。 私達が会ったときの印象、はやてやリィン達ヴォルケンリッターからの話を聞いた限りでは信じたいが公私を分けて行っているのかもしれない。 そんな緊張感が漂う中、二人?は私達には特に何もせずにリニアへと向かう。やはりスターズの二人が持つエリックが狙いなのか? すぐさま追いかけたいが周りにはまだガジェットが残っている為、そのまま行けばガジェットもセットとなりフォワードが新たな危険に陥る可能性がある。 だがその愛らしい襲撃者達はまだスターズの二人がいる筈の貨物車を通り越し、客車の屋根を突き破って車両内へと入っていった。 なぜ遠回りをするのか、待ち伏せか、あるいは客車にもレリックがあったのか?様々な可能性が頭をよぎる。 そんな時、ロングアーチのはやてから直接通信が届いた。 『なのはちゃん、フェイトちゃん心配あらへん。あの子らは敵やない…残りのガジェットの掃討を頼むわ』 「………はやて、信じても大丈夫なんだよね?」 無論フロシャイムをという意味だが、フェイトはディスプレイに映るはやての表情を確かめながら問う。 『あぁ、大丈夫や。せやからそのデカイ胸をドンと張って行ってきぃ』 はやての表情や様子からは焦りなどは見られない。寧ろジョークを言える位の余裕はあるみたいだ。 つまり私達がまだ知らない何か判断材料があったのだろう。そう考えるとなのはは自然に頬が緩んでいた。 「わかったよはやてちゃん、後でお話聞かせてね。行こうフェイトちゃん」 なのはは先程のはやてのセクハラに狼狽え、赤面しながらあぅあぅ言っているフェイトを連れて残りのガジェットの掃討へ向かう。 最後に笑顔で「それとさっきのセクハラ、次はないからね?」と言い残して… ~六課、ロングアーチ指令所~ 「はぁ~さっきのなのはちゃん恐かったわぁ~」 二人との通信を切ったはやては息を吐いて緊張気味になった体を落ち着かせる。そして表情を改めて引き締め、 部隊長の顔へと戻した。レリックも確保した。フォワードも無事、残りのガジェットも両隊長が当たるので問題はない。 後は事後処理や各所への通達、報告書の提出などを指示するだけだ。 「しっかし色んな意味で予想外やったなぁ…」 ふと口から漏れたのはフロシャイムの事だ。正直、あそこまで圧倒的な戦闘力だとは思ってなかった。 しかもそれがたった二人の怪人(大半はPちゃんの活躍かもしれないが)とあれば尚更だ。 そして現場に現れた目的、それも意外なものだった。はやても当初二人の姿を見た時はなのはと同様に、様々な可能性を考えた。 そこでアジトに確認の為の電話をかけ、応対した1号から話を聞いた時は安心して肩透かしを食らったくらいだ。 電話に出た1号の声は焦っていた様で、寧ろ向こうからかける所だったらしい。事の真相はこうだ。 フロシャイム本部からガジェットの資料がFAXで届き、その注意欄に「最新では山岳地帯リニア付近での目撃情報あり」と記されてあり、今日リニアを利用しているヴァンプ達を心配した2号がまず携帯に連絡したのだ。 だが電源が入っていなかった為に連絡がつかず、目的地である病院に着いたから電源を切ってあるのかと考えたが…フロシャム製GPSでの反応は山岳地帯を通過中のリニア内部を示していた。 そこで待機中だったデビルねことPちゃんで現場に急行し、1号が六課に問い合わせようとしていたという訳だ。 だが乗客の避難が完了済みの車両で何故反応があったのか?そんな疑問が頭に浮かぶが自分である仮説を立てて、納得してしまった。 「ヴァンプさん携帯とかはいつもアレ(盾)に入れとるからなぁ~まぁ多分、網棚か何かに忘れてったんやろ」 このタイミングでは出来すぎた話にも思えるが、相手がヴァンプだとありあえるかもしれない。 そう結論つけ、ため息を吐くとはやては次の指示をロングアーチに出していった。 ~山岳地帯リニアレール内部~ 「で、アンタ達はそのヴァンプって人が心配でここまで来たって訳ね?」 「うん。でも良かった~荷物を忘れてただけで」 オレンジ髪でツインテールの少女、ティアナは「荷物ねぇ…」と不機嫌そうに呟き、デビルねこから先程はやてが聞いたのと同じ様な説明を聞いていた。 少し前に聞こえた何かを突き破る轟音に気づいたティアナ達はすぐさま音のした客車へと急行したが、 彼女らが目にしたのは大きな盾と槍を引きずる猫とまるで置物の様に動かない鳥だ。 一応話を聞き、ここに現れた目的と部隊長と交流がある事はわかった。 ちなみに彼女が不機嫌なのは決してデビルねこに対してではない。自分の相方の行動に青筋を立てているのだ。 「ティ、ティア~この子すごい、すごいフカフカだよ!?低反発だよ~」 そしてその件の相方、青髪でショートカットの少女スバルは動かないPちゃん(充電中)を抱え、その抱き心地に感動していた。 遭遇してからティアナが話を聞き終えるまでずっとこの調子である。 「うっさい馬鹿スバルっ!!今はまだ作戦中なんだからいい加減にしなさい」 流石に許容出来なくなったのかティアナはスバルをしかり付け、いくらかおとなしくなったが(Pちゃんを離さないまま)「ティアも抱っこしたい癖に~」とぼやいていた。相変わらず鋭いと思うが今は任務が優先だ。 「とにかくこれからリィン曹長、私たちの上司と合流するからアンタ達も一緒に来て。流石にここに置いて行くわけにはいかないから」 「あ、リィンちゃんもいるんだね。わかった!!」 リィン曹長とも知り合いだったのかと意外に思ったが、自分の上司と彼らが戯れている姿を容易にイメージが出来、つい気持ちが和んでしまった。 自分もスバルの事を言えないなと苦笑してしまう。 そして自身よりも遥かに大きい盾と槍を抱え、ズルズル引きずりながらついていこうとするデビルねこを見ていると、 何か胸にくるモノがありどこか放っておけない。 「ほら、持ってあげるから貸しなさい」 「え!?そんな何かわるいよ。あんまり重くないから大丈夫だし…」 やはり断られた。でもさっきの様な姿を見ているとお節介だと感じつつも、つい世話をやきたくなってしまう。 「だったら証拠物件として預かるわよ。一応現場にあった物だし、それに大切な人の物なんでしょ?だったら丁寧に扱わないと傷むじゃない」 そう言うとデビルねこはう~んと考え込んで「うん、じゃあお願いします」となり、スバルはその隣で「素直じゃないねぇ~ティアは」と言ってニヤニヤとティアナを見ている。 この際スバル(馬鹿)は無視しようとティアナは思った。そして盾と槍を預かった彼女はそのままデビルねこもヒョイと脇に抱え、デビルねこは「え?」と声を出す。 「こっちの方が早いでしょ?それにもうリニア内でガジェットの反応も無いから別に問題無いわよ」 「あぁ~ティアずるい!!私もねこ君抱きたかったのにぃ~」 「うっさい!!アンタはその子(Pちゃん)がいるでしょうが。ほら、早く行くわよ」 自分を羨ましがるスバルを連れてリィンと合流する為に先頭車両へと向かう中で、ティアナはデビルねこの何だか体に馴染む抱き心地に不覚にもクセになりそうと思ってしまう。 そしてこの時、彼女はわからなかった。これから時間がある時はフロシャイムのアジトへちょくちょく足を運ぶようになるとは… 「ねぇところでさ、Pちゃんの嘴やねこくんの頭にかけらとか汚れとかついてるけど…大丈夫なの?」 「ん?あぁさっきガジェットにいっぱいぶつかっちゃったから…でも大丈夫、案外脆かったから全然たいしたことないよ」 さらりと何かとんでも無い答えが聞こえた気がするが、ティアナはデビルねこの抱き心地に意識を向けることで、あえてスルーをした。 『天体戦士リリカルサンレッド』この物語はミッドチルダにて繰り広げられる善と悪の壮絶なる闘いの物語である――― 続く おまけ ~フロシャイム西東京支部~ 「おぉ、ヴァンプか!!先程お前から送られてきた報告書が届いてな、今見ているところだ」 受話器を片手に資料を読んでいるヘンゲルは現在それを送ったヴァンプに確認の電話をしていた。 「うむ、ミッドチルダの社会体制、内情、司法組織の内容が実によく纏められておる。 たった2ヶ月足らずでこれ程とは流石ヴァンプ将軍、侮れぬ男よ…」 ヘンゲルはよく纏められているヴァンプの報告書の出来に嘘偽り無い称賛の言葉を送る。 だがディスプレイに表示されている六課、主に隊長陣の戦闘映像(撮影 Pちゃん)については多少不満があったようだ。 「しかし資料にある戦闘映像…なぜ横からの視点しかないのだ?飛行タイプの怪人であればこれで事足りるだろうが、フロシャイムには飛べない怪人も多い。 次に資料を送る時には様々な、そして怪人たちの視点、即ち真下と斜め下からの映像も追加し、三次元の立体的な動きを把握する必要があるだろう。あぁ、では次回も期待しているぞ」 「あの、ヘンゲル将軍」 「何だサミエル?」 報告書の改善点を伝え、通信を切ったヘンゲルに対して傍らに控えていたサミエルは声をかけた。 「将軍の意図は理解しています。勿論もうひとつの意味も…しかしなぜ斜め下も必要なのですか?真横と真下で充分だと思うのですが…」 サミエルの問いにヘンゲルは深い溜め息を吐いてから口を開く。 「サミエルよ、わかっておらんな…大事のはチラリズムだ」 「………………」 ---智将ヘンゲル、彼のIQは150を超えると言う------ [[前へ リリカルサンレッド4話]] [[目次へ リリレッド氏]] [[次へ リリカルサンレッド6話]]
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魔法少女リリカルBASARAStS ~その地に降り立つは戦国の鉄の城~ 第三話「忠勝、訓練をする。」 (・・・・眼福。) それが訓練所に来た忠勝の感想であった。 忠勝の目の前にはスバル達となのはが戦闘の訓練をしている。スバルのウィングロードがあたりに広がり、ティアナの弾丸が宙を舞う。 そしてエリオのストラーダから吹き出す黄色い魔力、キャロが放つ桃色の魔力とフリードリヒの炎が交わる。 スバルの攻撃を避け、ティアナとエリオの一撃を防御。キャロとフリードリヒの攻撃を空中に形成しておいた魔力で相殺。 忠勝は魔法なんてものを見たことはないので不覚にも幻想的なその魔力と戦闘に見惚れていた。 「・・・どうですか?」 横から声が聞こえる。声がした方を向くと紫の髪の少女、ギンガがいた。ギンガともお互いに自己紹介を済ませている。何故か知らないがギンガは身構えていたのを覚えている。 大して気にしてはいないのだが。そのギンガの問いに何度も首を上下に振る。 忠勝の様子を見てギンガは微笑して隣に立つ。 ふと忠勝は考える。 (自分は・・もしかしてお荷物ではないのか?) よくよく考えてみると自分は魔法なるものを使えない。腕っ節や槍の腕の自信はある。 しかしここに来て薄々わかったことがある。「ここでは魔法を使えないと意味はない」のだと。 戦闘にも魔法を使うし、どうやら日常生活にも「念話」という魔法を使うようだ。 自分は魔力なんてこれっぽっちもないから戦闘用魔法はもちろん、念話さえできない。そんな自分がここにいていいのか?と忠勝は悩む。 戦闘に見惚れて浮いていた自分の感情が一気に沈む。はっきり言って憂鬱だ。 「はい!訓練はここまで!」 「「「「あいがとうございました!!」」」」 そんなことを考えている内に訓練は終わったようだ。なのはが皆の今回の訓練でよかったところ、逆に悪かったところなどを述べている。 結局自分はついてくる必要はなかったじゃないか。槍も持ってきた意味はないな。 忠勝は背を向け歩き出す・・前になのはから声をかけられた。 「忠勝さん、あなたも六課にいる身だから・・訓練やっていかない?」 「・・・・・」 考え込む忠勝。その証拠なのか機械音が唸る。 確かにこの世界に来てから戦闘訓練や体を動かすことは最近やっていない。でも魔力を持ってない自分がこの世界の戦闘技術に通用するのだろうか。 ええぃ、もうどうにでもなれ。 槍を構え、大きく頷く忠勝。その後訓練所の一角にある広い廃墟に連れていかれた。 見上げるとフォワード陣と隊長陣。ちょっと待て、なんでヴィータとシグナムとフェイトまでいるんだとつっこみたくなった。 「準備はいいですか?」 シャリオが空中にキーボードを浮かばせて忠勝に向けて叫ぶ。 無論、準備は完了している。槍を天へと掲げてみせる。 「じゃあ設定は5体で・・・開始!!」 身を構える忠勝。地面に形成される魔法陣。そしてキーボードを覗くシグナム。 「・・・桁・・間違えてるぞ。」 「・・・え?」 地面からは設定数より二桁多い訓練用ガジェットドローンが出現した。 「ちょ!?シャーリー!?」 「何間違えてるの!?」 「ご・・・ごめんなさーい!」 通路を埋め尽くすほどのガジェットドローン。その数ざっと500。 何で間違えたのかは知らないがガジェットドローンは容赦なく忠勝へと向かっていく。 「は・・早く止め「待て!!」・・・?」 フェイトの言葉を遮ったのはヴィータの言葉。そしてヴィータは「マジかよ・・」といった顔で下を見ている。 「あいつ・・・やる気だ・・・」 その数秒後、全員の叫びがビルの屋上から響く。 そのビルの下、忠勝は槍を振るう。 横振りの一撃で数体、もう一回横振りで数体。下からの切り上げでまた数体。それから切り下げ。 そして足の裏をキャタピラを使い自身を回転させて突撃。腰から「ガキンッ!!」という機械音とともに周りにいるガジェットドローンが吹き飛ぶ。 槍の先端を回転させて一突き。そのまま刺さったガジェットドローンを鷲掴みし、放り投げる。遠くで起こる爆発。 (訓練用だからかもしれないが・・・攻撃動作が鈍いな。) それが忠勝の第一感想。今まで忠勝が駆けてきた戦場はこのぐらい兵がいて当たり前だったし下手をすれば数千の兵と相手をしていた。 だから一対多に長けており、怯まずに攻撃を繰り出せている。 そのうち一体を潰すと一瞬目が黄色く光る。これで100体目だ。 (いける・・・これで自分はお荷物じゃないと証明できる!!) 攻撃を繰り出す忠勝はやけに楽しげだった。が、見学している者達としてはそれどころじゃなかった。 「ありえない・・・」 皆一斉にそう呟いた。 なのはやフェイト、ヴィータやシグナムは下手すると100体近くの敵と戦うときはあるが大体は魔力で一掃。それでも疲労感はある。 スバル達に関しては数十体ぐらいが限界だ。 そして忠勝はその数を軽く超えた500体を相手にしている。ちなみに今は350体いる。 信じられないというのが皆の気持ちだが目の前でああいう戦闘をされては信じるしかない。 何故か、ため息が出てしまう。 その頃の忠勝はいろんな意味でだるくなってきていた。 (さすがに皆を待たせては悪いな・・・。) 槍を地面に刺し、低く構えて精神統一。敵のど真ん中でそんなことをしていれば当然無防備になり一斉攻撃を食らう。 忠勝に向かう魔法の砲撃。それが当たる前に忠勝は空中で大の字になり、周りには黄色いオーラが流れた。 戦極ドライブ、発動。 戦極ドライブとは、忠勝がいた戦国時代の有名武将が全員持っていた技だ。 敵を100人倒すことで溢れ出す自分の中の「気」を興奮状態にさせたままそれを体内で必死に抑える。 そして抑えていた気を一気に開放する。それが戦極ドライブという技だ。 これを発動すると何のデメリットもなしに移動、攻撃、防御などのすべての身体能力などが上がる。 忠勝は背中の紋章から二門の大砲を生成、また低く構える。砲口からはわずかに稲妻が出ている。 忠勝、攻撃形態。 一気に砲口からプラズマエネルギーが放出。 蒼白い光が残りのガジェットドローンの身を包み、溶かしていく。 プラズマエネルギーが消えた後に黄色のオーラが蒼に変わり、そして消えた。 間接か煙を噴出し地に降り立つは戦国最強本多忠勝。 彼の目の前には削れた地面と崩れたビルと青空以外、何もなかった。 「・・・ガジェットドローンの反応・・・ありません・・・」 シャリオの言葉が響くが皆は硬直して動かない。 忠勝は背中のロケットでビルの屋上へと行き、軽くお辞儀をする。それでも動かない皆を見て不安に見てまたオロオロしだす忠勝。 「すごぉぉぉぉぉぉぉいっ!!」 沈黙を破ったのはスバルの一声。それから皆からの感想を叫ばれさらに忠勝はオロオロする。 ついには叩かれもみくちゃにされ踏んだり蹴ったり。 埒が明かないので忠勝はロケットを展開して、逃げた。 戻る 目次へ 次へ